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小さき勇者たち -GAMERA- [怪獣]

 少し落ち着いたんでネタバレ御免の感想エントリ、いきます。

まず結果から言ってしまえば、一生もの殿堂入り、一発で確定。
自分的にはすっごいOKで逆に言えばなんでいままでこういう怪獣ものってなかったんだろって。
自分の思いつくところではデジモン(テイマーズまで)に怪獣もののカタルシスを感じることができて、
アイアンジャイアントのドラマがわかる人、そういう人は間違いなくビタッとくるかな。
普段怪獣映画観ない人でも問題なっし。(笑)

従前の怪獣ものがひとつの限界に達してしまっている今、このジュブナイル怪獣ものへの挑戦は
”怪獣映画”そのものの生き残りを賭けた勝負であるといえます。
平成シリーズはいろんな意味で素晴らしい作品ではあったのだけれど(実際自分も好きだし。)
怪獣ものというカテゴリーの間口を自ら狭めてしまったという負の側面を持つのを忘れちゃいけない
んだよね。
それは作品の評価は高いにもかかわらず、興行面でぜんぜん振るわなかったという状況に現れて
しまったわけなんだが…。
言うならば怪獣映画なんてマニアしか観ないという図式を加速させてしまったのだが、
そもそも自分らみたいなマニアなんて牌としてはたかが知れてるわけで、怪獣映画って制作費
バカにならない、それで客少ないじゃにっちもさっちもいかなくなるのは目に見えてる。
(でもマニアを軽視してもいいという意味じゃないよ、本当に世間にそっぽ向かれた時、最後まで
ついてきてくれるのはマニアだけなんだ、そういう意味でもその方面もきちっとしておかなければ
いけないと思う。)
それに今の子どもは従前の怪獣ものをそんなに欲していないという現状もあるしね…。
そんな状況に対する一つの回答としてガメラは勝負に出た。
日本の怪獣キャラNo.2とはいえゴジラと比較するとブランドとしてやっぱり弱さはあるのだけれど
だからこそ大きな冒険も可能だ。
その一つが平成シリーズとして結実したのであるし、今度はファミリーピクチャーとしての挑戦と
いうことなのであると思います。
興行サイドの要求も大きかったんだろうけど、
怪獣ものってもっと包容力を持っていたカテゴリーのはずだしね。
それに映画に限らず商品のヒットさせる最終的なところって、いかに一般客を巻き込むかにあるわけで…。
(今回かなりの試写会行ったのも口コミ作戦、という興行戦略といえますね。)

前にナルニア観に行った時、子ぎつねヘレンと予告を同時に観た時かなり唖然となったのだが
作りのベクトルが全く同じだったのね。
それは本編観れば納得なんだけど、タイトルの”小さき勇者たち”の通り、この作品の本当の主役
は子どもたちであってトト(ガメラ)は助けてもらう存在。
そのあたりは従前の怪獣もののノリで観ようとする人には完全に期待を裏切られるはずだが。(笑)
でも観客に子ども無くして怪獣映画はあり得ない。
怪獣ものの未来を考えるなら今の子どもたちに観てもらえなければこの先はない。
現状でも既存怪獣の新作しか作れない(それすらも難しくなりつつあるが)状況であるのに、
今の子どもたちについてきてもらえなければほんとうに絶滅してしまいますから。

今回ジュブナイルものとして描いたのは、いわば子どもが大人へなっていくとき、
乗り越えなければならないもの、決別しなければならないもの、
それらの比喩としてガメラという器を借りて描かれたのが本作であるが。
それは子どもには今(もしくはこれから)立ち向かっていかなければならないもの、
大人にとっては経験してきたものであってすべての世代に理解できるものであるはず。

赤い石のリレーからクライマックスへ向かっていくところ、
あのカタルシスは”ぼくらのウォーゲーム”、いや”ディアボロモンの逆襲”か?
…後から思えば同じものを感じたんだけれど。
”理屈で考えるな、心で感じろ”なところですよね。
自分が最高潮に来ちゃったところがセントラルタワーズから落下してしまった……、
と思いきや回転ジェットで飛び立つトト、なところでした。
たぶんその時自分は他人に見せられるような状態じゃなかったかと。(笑)

今回、全体を通して昭和、平成両シリーズへのリスペクトでありアンチテーゼでもあると思います。
それは映像とか演出とか、いろいろと見てとれるわけなんだけど。
今までガメラってなんだか理由もわからず子どもの味方してくれたり、
平成シリーズでは対ギャオスのための生体兵器だからというあまりにも悲しすぎる理由が
自分的にはどうしても納得いかなかったのだけれど、トトガメラははっきりしている。
”透を守りたい”
これでいいじゃないですか。
アバンガメラが理由不明なのに自らの命を絶ってまで殲滅したのと非常に対照的なんだけれど、
この違いが従前の怪獣ものとの決別宣言、と言ってもいいでしょうね。
なんだかかなり擬人化入った考え方だけど、本作だったらそういかなきゃダメでしょ。
感情移入の度合いだってそのほうが全然違ってくるし。
だからトトもジーダスも動物的行動じゃない、頭良すぎ。(笑)
感情表現というところではトトは顔に集約した感がありますけど、ジーダスは全身とその行動に出る。
エリマキも結構感情表現に有効なデバイスとして働いていてそのあたり、
エリマキトカゲネタにしたのは正解といえるかな。
ジーダス登場の大見栄の切り方もかなりインパクトあって直接描写は避けているものの、
追いつめた人達をかぶりつくように貪り食って口を血で真っ赤に染めちまったというのは
強烈な印象を出してる。
G1ギャオスではかなりエグイともいえる描写があった(とはいえ人影は直接見えないが)のに
血はまったく見えなかったというのとかなり対照的。
ファミリー向け路線とはいえ怪獣ものなんだからこれぐらいはOKなのかな?(笑)

ジーダスの攻撃といえば舌と尻尾がまず出てくるだろうけどキックもかなり印象深い。
正式には”喧嘩キック”という技なのだそうだが(笑)、かなり擬人化入った技だもんね。
というかこれトカゲロンへのオマージュととっていいですか?(笑)
普通の怪獣着ぐるみではありえない高さまで足あげて蹴り叩き込むのが凄いっちゃ凄いの
だけれどそれを実際に可能にするジーダス着ぐるみの機動力が凄いわな。
GMKでもゴジラがバラゴンに蹴り入れるカットあるがあれはカット割りでそう見せてるわけだし。
そういやGMKゴジラもジーダスも中の人、吉田瑞穂氏だよね…。
吉田氏ってここ何年か自分がいいと思った怪獣のなかに入ってるのがどういうわけか多い、
それと身長とか体格的なスペックも自分と同じ人なので、ということで顔覚えちゃった
スーツアクターさんなんですが。
ジーダスって中の人の体型がはっきりわかる着ぐるみなんで、それ故本作のセットのスケール
が自分対比しやすいというのがありました。
中の人対比でトトとの身長差出された一文にはそれこそわかり易っ、みたいな。(笑)

細かいところみれば、赤い石って結局なんだったのよ、とかジーダスってなんのために現れた
のよとかあるけれど、この作品から見れば省いちゃってもそんな問題にはならない。
そもそも尺が96分しかないわけだし、もっと延ばしても話パンクしちゃうだろうし。
自衛隊が動かないのも33年前のギャオスインパクトのトラウマのためだとか、そういったとこで
関連書籍やら各種設定から脳内補完しとけばいいわけで。(笑)
ただ本編で補足しきれない部分は極力ないほうが理想ではあるが本作ではそのあたり、
詰め込みすぎると従前の怪獣ものと変わらなくなってしまうし。
原作版からも省かれたカットっていろいろあるけど、その中に描写として削ってしまってよかった
のだろうか?、という部分があるのは残念といえば残念ではあるが。
ただ翼まで生えてきてドラゴン然とした姿で空を飛んでしまったジーダスは見てみたかったなぁ。(笑)

今エントリはここで一旦終わりにします。
書きたいことは沢山あるんだけど全然整理つかない。(^^;
またなにかあったら後日ということで。
さて、今回はネット購入使ったんで先に買った前売り券残っちゃってるんだよね。(笑)
5日あたり2回目観にいってくるかな~。

なおエキストラ参加の某氏の姿、結局わからず。(^^;

(ほんとに書きたいこと多すぎででまとまりきらず、
このエントリは4/30に書き始めましたが公開は5/2になってしまいました。)

5/24、続きエントリーhttp://blog.so-net.ne.jp/vixenlog/2006-05-24追加しました。


タグ:映画 ガメラ
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ラタ@殆どゼブラ柄はわからなかった>帽子

ここまで芯からアツくさせられた映画がおそらくBB以来なので
言いたいことが全っ然まとまりません…。
猪熊さんの感想には同意しっぱなし…っていうか握手を。
えー、長~いコメント書く時間もないので今日は小ネタだけ

*ハイパーホビー誌の田崎監督のインタビュー*
「こういった映画の戦いの音楽に関しては、やはり伊福部昭さんやハンス・ジマー的な感じでなければなりませんので…(大意)」
…流っ石!田崎監督!わかっていらっしゃる!
by ラタ@殆どゼブラ柄はわからなかった>帽子 (2006-05-08 00:25) 

猪熊きつね

 今サントラがエンドレス状態で流れてますが、そうなったのはこういう隠れた
理由があったからなのか?(笑)

これでもまだまだ書き足りてないのでまた観てきたとき別エントリで書くやも
しれません。
by 猪熊きつね (2006-05-09 00:11) 

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